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いとうけいすけに100の質問

Q001:

坂本:
「銃声とダイヤモンド」の楽曲制作、本当にお疲れ様でした。
まずは、本作の音楽制作を終えた今の感想をお聞かせください。

いとう:
プロジェクト終盤はいつも反吐ブチまける過酷さですが、
終わったあとはいつもその少し過去が羨ましい。
まだまだ作っていたかったな、という塩梅。
そう思えた時はそのプロジェクトが楽しかったという証拠です。
真っ直中にいるときは絶対に気付かないんですよ。

終わってみれば制作曲数は3桁いきませんでしたが長丁場でしたね。
今回は作風が独特だったので、1ヶ月作業のブランクが空くと
それだけで作風のエッセンスが薄れるので結構苦心しました。
タンゴのDVD観ながら寝たりして空気を維持してましたよ。

今作に限ったことではありませんが、ノイジークロークの社風では
「無難」を忌み嫌う姿勢があるので毎回気が抜けませんね。
いつも新しいジャンルや狙いを持って作ることになるので
「曲書けます」だけじゃ話にならない。
それを創意工夫して新しいものを生み出す、という所まで求められるので
じつにやりがいのあるしごとですいつもありがとうございます。

Q002:

坂本:
本作の楽曲は非常にコンセプトがはっきりしていると思いますが、
その理由としてバンドネオンという楽器の存在が挙げられると思います。
そもそもこのバンドネオンという楽器を起用されることになったいきさつは
どのようなものだったのでしょうか。

いとう:
シナリオ担当の方から最初に提示があったんですね。
それがそのものずばりピアソラでした。

もっと細かく言うと、ピアソラというアルゼンチンの
バンドネオン奏者兼作曲家の音楽を
「バンドネオン・バイオリン・ピアノ・ギター・コントラバス」
という5つの楽器でもって紡がれていく世界、という捉え方をして、
それに対して銃声とダイヤモンドでは
「鬼塚・神崎・中村・片桐・グレン」
という5人が織りなす複雑なドラマを音楽で構築しよう、という狙いがありました。

言葉にするともの凄く観念的な目論みですが、
音楽的に噛み砕いて解釈すると「アンサンブルしっかり作っていこうぜ」
みたいな感じでしょうか。

そんな経緯があって、バンドネオンを軸に据えました。
とはいえ、あまりメジャーな楽器ではないので、まずは奏者の方をどうしようか、
というところで悩みましたよね。
アコーディオンで代用してはダメなのか?とか、そんな逃げ腰の提案もあったり。
しかしあのバンドネオンならではの饐えた音というか、
擦れた、人生が翳っていくような音色がどうしようもなく代え難い。
銃声とダイヤモンドという作品が持っているテーマって、一言でいうと「ただひとつの信念」だと思うんですよ。
だから今回はバンドネオンだけは何がなんでも収録しよう、ということにしました。

更にいうと、加えてバイオリンも譲れない、ギターも譲れない、ということで
ピアノとコントラバスは譲ることにしました。
ピアノは私が自宅で弾き、コントラバスは打ち込みです。
低音が鳴らない携帯機用に、コントラバスまで録らなくても、ということもありまして。

かくして5つの楽器が互いに複雑に絡み合いながら響く音楽の制作スタート、
という流れでしたね。いやあ懐かしい。

Q003:

坂本:
作曲者ご自身として、本作でもっとも気に入っている曲はどれでしょうか。

いとう:
ひとつに絞れませんね。勝手にいくつかコメントさせてください。

まずサントラの25曲目「Le tango de levres(唇のタンゴ)」。
これは、今回のプロジェクトで一番制作に没頭した曲です。
物語に当てるBGMの王道として、喜怒哀楽焦怯恐怠の基本感情を抑える曲を用意するために、
どうしても本格的なアルゼンチンタンゴから離れざるを得ないという事情があるんですが、
作り手としてはそれがどうしようもなく悔しいんです。
そういう中で、もう無理やりにも「本格的なもの」を意識して作った曲です。
1分の曲でよかったのに気が付いたら5分弱になっていたわけですが
本当に気がついたらそうなっていたんです。怖いですね。

次にサントラの27曲目「ラストメッセージ」。
これは没曲だったんですが、個人的に気に入っていたので
プロジェクト終盤で無理やりお願いして採用してもらいました。
あまりにも終盤でねじ込んだので、演出サイドでも扱いに困ってしまい
結局はとある一箇所のみでの使用となった(ハズ)んですねー。
とても穏やかで暖かい、終わりのない日常を優しく包み込んでくれるような曲です。

最後にサントラ36曲目「ジャッジメント」。
今作では「交渉」というゲーム性のため、ジリジリと事態が一進一退していく、
淡々と拗れていくような音楽をたくさん作っていました。
たくさん作って作って、作っていくうちにだんだん欲求が溜まってきたんですね。
普段はメロディをしっかり書きたい、盛り上げ場をしっかり作りたいというタイプなので。
ですからこの「ジャッジメント」は、作曲自体も結構プロジェクト終盤でしたけど、
もう作曲的欲求不満が爆発した結果の産物です。
サウンドノベルでこんな激しい音楽当てちゃっていいの?とか
そういう躊躇も一切無く、勢いで作りきった曲です。

Q004:

坂本:
作曲者ご自身として、本作でもっとも気に入っているキャラクタは誰でしょうか。

いとう:
主人公サイドに、プロファイラーの「中村啓介」というキャラクターがいますが私のお気に入りはこの「中村啓介」です。
なぜかというとこのキャラのモデルが実は私なのではないか、という疑惑があるんですね。
「啓介」という字まで同じです。名前まで引用されるモデルって凄い。
他にも「頭脳明晰」「容姿端麗」「黒幕的」「眼鏡」といった所まで採用された節があります。
だからこのキャラのプロファイリング通りに交渉を進めようとするとたまに失敗するんです。
わざと嘘情報流してるんですよ。性格の悪さまで採用していただいたようです。
そうですよね?絶対そうですよね?

Q005:

坂本:
作曲者ご自身として、ノイジークロークでもっとも気に入っているスタッフは誰でしょうか。

いとう:
坂本英城さんですね、と勿論ここはそう言わざるを得ない局面ですが敢えてスタッフの中から選ぶとすると、いつも業務連絡をくれる湯川さんが気に入っています。
なぜかと言うと湯川さんは若かりし頃、○○を○○していたという過去を持ちながら(○には○が○っている!)○○の時に○○を迫られ、○○を選んだという男気には同性として敬意を払わずにいられません。
また同スタッフの○○君を○○していたという過去も素晴らしいですよね。
○○に乗って○○で○○ごっこしていたとか、暗殺に○れて○○○○始めたとか。
優勝じゃないでしょうか?
とにかく湯川さんは本気で○○だと思います。

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Q006:

坂本:
いとうさんご自身のことについて伺います。
いとうさんが作曲を始められたのはいつ頃からでしょうか。

いとう:
大学を卒業してから、父に頼み込んでパソコンとシーケンサーを買ってもらいました。
何とも腑抜けな話ですが。
本格的にソフトを使った作曲というのはこの時からです。

学生時代はキーボード奏者としてバンドに明け暮れていましたが
鍵盤を弾くときに、いつも適当に思いつきで弾いていたので
多分そういう戯れが重要な糧となっていたと思います。

パソコンを購入して作曲を始めた、というよりかは
シーケンサーの使い方を覚えた、というのが近いかもしれませんね。
作曲は昔から頭の中でずっとやってた感じです。
妄想家だったんじゃないでしょうか。

Q007:

坂本:
本作の楽曲は特定のジャンルにカテゴライズし難いものが多い印象ですが
いとうさんの音楽性のルーツになったジャンルやアーティストがいれば教えてください。

いとう:
今までで一番長いこと聴いてきたのは、多分チックコリアと矢野顕子だと思います。
高校大学の授業中のほぼ全てを音楽鑑賞に当てていたような…。
褒められたことではありませんが。
ちなみにチックコリアなら「マイスパニッシュハート」、矢野顕子なら「峠のわが家」が究極です。
この2人のアーティストを聴き込んだことから得たものは「音楽って自由なんだ」ということでした。
「マイスパニッシュハート」は聴いた時は頭よじれそうでした。

そんなわけでルーツとなるジャンル、と問われたらジャズ、ということでしょうか。
「ジャズとは気合いだ!」と言ってた人がいますけど、発想が実にロックですよね。
ロック死すともジャズは死せず。

Q008:

坂本:
いとうさんは楽器の演奏もされるということですが、もっとも得意な楽器は何ですか?

いとう:
ピアノを触ります。ギターも触るんですけど、ベースも触りますね。
ずっと昔にチューバやトロンボーン、ユーフォニウムなんかも触りました。
そう言う意味ではヴィブラフォンも触るんですけどピアニカも触ります。
得意なヤツですか?うーん、口笛上手いですよ。音域も広いし音量も安定してます。
結構実用に耐えうる手練れだと思います。

Q009:

坂本:
ずっと気になってたんですが、「ノイジークローク」ってどういう意味なんですか?

いとう:
これは私もずっと気になってたんですよね。
過去に何度か聞いたことがあるんですが、なぜか教えてくれない。
野遺児・苦労駆と書けばちょっと野性味溢れた立身出世を感じられていいなと思いました。
でも本当にノイジークロークってどういう意味なんですか?
いい加減気になってきたので辞書で調べました。
Noisy … 派手な
Croak … 死ぬ
だそうです。
業界にドカンと一発大花火ブチ上げて派手に死のうぜ、
というのがノイジークロークの会社理念、ということなんですか?
いいですね。私も死にたいです。

Q010:

坂本:
いとうさんがいつも素敵でいられる理由を教えてください。

いとう:
全てのものが脳から生まれています。
人の為すことは全て「考えて、行動する」ことだと思っているんですが、
まず「考える」ために、脳を磨くのです。

この「脳」を常に良い状態で保てるように、栄養を与え続けるのです。
それは「食事に気を配る」ということなんですよ。

例えば、最近私は朝食に「アサイー」を取り入れ始めました。
知ってます?「奇跡の果実」。
アサイーはいいですよ。
何と言ってもうんこが黒くなります。

あ、いえ、誇張では…すみません。少し脚色しましたね。黒は言い過ぎました。
濃褐色、というか濃い緑のうんこになります。ヘドロみたいな。藻、ですね。
効能は、トイレでのティッシュの使用量が劇的に減ります。
「劇的」ですよ。
ということはですね、必然的にトイレ使用時間が減ります。
するとどうなるか。
どうなるんでしょうね。
素敵でいるということはやたらめったらに放屁しないということなんですね。
腸にいいと思います。アサイーは。

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Q011:

坂本:
坂本さんがいつも素敵でいられる理由を教えてください。

いとう:
そうですね。坂本さんは本当に素敵だと思います。
まずギャグが素敵だと思います。

プロジェクトの進行の際に、機密保持のために独自の仮プロジェクト名を付けることはよくありますが
ノイジークローク社内ではついこないだまで「坂ちゃんナイス」というプロジェクトが走っていました。

何と言っても話す言葉やメールから、ギャグ成分の量で坂本さんの具合が判別出来ます。
ギャグ一切無しのメールが来たら赤信号。素敵だと思います。

真面目な話をすると、社員やスタッフをここまで大事に扱ってくれる会社が他にあるのでしょうか?
極めて素敵だと思います。

ただ「うんこうんこー」という件名のメールは控えていただけると助かります。

Q012:

坂本:
「銃声とダイヤモンド」の作曲の依頼を受けたとき、どのような心境でしたか。

いとう:
最初はタイトル名が「震える膝、乾いた唇」だったんでしたっけ?
略して「ふるかわ」と言われ、意味分からん、という感じでしたね。
SCEがついにサウンドノベルに本腰入れる!的な壮語でもってお話を頂いたんですが、
最初は本当にピンときませんでした。
どういうゲームになるのかがさっぱり分からない状態でしたし。

「交渉」というキーワードを聞いてからは今度はプレッシャーが凄かったですね。
交渉をする、ということは口喧嘩やディベートではなくて、
本当にじくじくと堅実に会話していくんだろうなと。
これを音楽で盛り上げるにはどうすればいいんだろうって悩みこんでました。
本編では命を賭けたディベートやってましたけど。

Q013:

坂本:
SCEの担当プロデューサー、北川竜大さんには大変お世話になりましたね。

いとう:
北川さんには最後の最後までお世話になりました。
プロジェクト当初は髪が長かったのですが、プロジェクト終了時には短髪でしたね。

何と言っても北川さんがプロジェクト真っ直中でポリープ手術で入院した時が凄かった。
手術当日の夜、既に病室から業務連絡メールをばらまいてましたね。
あのプロ意識には感動しました。
「手術成功おめでとう!」ってメーリングリストで飛び交ってましたよね。
家族的なチームでしたね本当に。
こういう人がプロデューサーとして君臨してくれるプロジェクトというのは本当に気持ちがいいものです。参加してよかったという気持ちになりますね。

それにサウンドトラック発売まで引っ張ってくれたのも北川さんのお陰ですからね。
作曲者としても、そこまで気に入ってもらえて本当によかった。
北川さん、本当にありがとうございました。

Q014:

坂本:
開発を担当されたツェナの笹平さん、佐々木さんとも非常に密にやり取りをさせて頂きながら作品を仕上げていきましたよね。

いとう:
そうですね。今回は本当によく連絡を取り合って仕事が出来たと思います。
実際の所、音楽を作る際に「感動」とか「緊張」とか、いくらでも解釈のしようがある言葉を一言二言もらっただけでストライクを放り込めるわけがありませんからね。

大勢でひとつのものを作り上げていく上で、密なコンタクトがいかに重要なのかを改めて感じました。
密コンですよ。重要なのは密コン。週末は密コン三昧でした。

Q015:

坂本:
ぶっちゃけ(誰にも言わないので)、北川さんと笹平さん、佐々木さん、
誰が一番好みのタイプでしたか。

いとう:
難しい質問ですね。この3人には本当にお世話になったので、
それを好みのタイプで選別するなんて烏滸がましすぎます。
が、強いていうなら笹平さんが好みでした。

最初の顔合わせで、どこの店だったか、みんなで呑みに行きましたよね。
そこで笹平さんが、この銃声とダイヤモンドというゲームにおいて、
交渉というものが如何に楽しいものであるかを、
これでもかというぐらい熱弁してくださったんですよね。

「相手からかかってきた電話を切ることもできるんです!」
「電話、切れるんですよ!」
「だって切りたいじゃないですか!」
「かかってきた電話切りたいじゃないですか!」

交渉の面白みを「電話を切ること」に集約させるプレゼンて豪快だなと思ったんですね。
よっぽど切りたかった電話の記憶があるんだろうなー、と思いました。
多分、笹平さん1時間ぐらい喋り続けてましたね。

ああいう風に情熱を叩き込まれるのが好きなんですよ。
「面白いもの作りたいからお前の力を貸してくれ!」という押し出しでこられると
いやがおうにもこちらのテンションも上がるんですね。
やろうぜ!という気持ちになる。

笹平さんが窓口に立ってサウンドの演出回りを見てくれたのは
間違いなく今回の仕事が上手くいった要因のひとつですね。

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Q016:

坂本:
私は佐々木さんが好みでした。

いとう:
実は私も佐々木さんが好きです。
佐々木さんはおかずを全部自分で作るんだそうです。
私はおかずは作りません。
作らなくても売ってますし。
でも佐々木さんは全部自分で作るんですって。
凄いですよね。
今度私にも作って下さいよ、と言ってみたら
「いつでも作って差し上げますよ。どんなのが好みですか」って。
なんでも作れますよって豪語するんです。凄い。
佐々木さんは本当に好きです。

Q017:

坂本:
今回はほとんどの曲でレコーディングを行いましたが、レコーディング
現場で最も印象に残っている出来事は何でしょうか。

いとう:
坂本さんが私に何を言わせようとしているのかわかります。
アレですね。楽譜間違ってた事件。
参りましたね。
1個や2個の音符ミスじゃなくて、1曲丸々調が違うというのには本当に参りました。

何ででしょうね?私自身はパソコンにそのような指示は出していないので
アレはやっぱりパソコンが勝手にやったんでしょうね。
そう考えるのが自然だと思います。

フレーズ単位じゃなく1曲丸々現場で楽譜作成という事態に陥ったわけですが、
厳しい収録スケジュールの中で一瞬絶望しました。
湯川さんの高速写譜のお陰で窮地を乗り越えることができましたが、
アレは本当にありがとうございました。
湯川さん最高だと思いました。

Q018:

坂本:
バンドネオンは北村聡さんに演奏して頂きました。北村さんとの
やり取りの中で印象に残っていることを教えてください。

いとう:
「モルデント」という奏法があるんですが、「そこデルモンテで」と言ったら通じたんですよ。
素晴らしいことです。

とにかく北村さんは抽象的な言葉を噛み砕くセンスが抜群に鋭くて、
「グッとくる塩梅で」とか無茶な言葉を投げてみても、本当にグッとくる演奏が返ってくる。
そうなってくるともう北村さんの感性を全面的に支持します、
ということで「味な感じで」とかどんどん要求が曖昧になっていったんですが、
まさに求めている「味な感じ」で応えてくるれるんだから北村さんこそ優勝だと思います。

Q019:

坂本:
バイオリンは「無限回廊」の1stを担当して下さった今野均さんでしたが今野さんとのやり取りの中で印象に残っていることを教えてください。

いとう:
今野さんはまさに「武士」でした。
バイオリンの楽譜は難解なやつが多くて、更に無調で調号が入り乱れてる酷い楽譜だったんですが、ザクザク弾き倒していって、「あー弾いた弾いた」と爽やかに笑いながら愛車で去っていくあの感じ、格好良かったですね。

とにかく今野さんは上手いんですよね。
音符だけの楽譜から、オケを聴きながら「これぞ」という表情のある演奏をしてくれるので作曲した本人としても感嘆するばかりでした。
優勝すぎると思います。

Q020:

坂本:
今回は難解なフレーズが多かったにも関わらず、お二人とも
ほぼ譜面を初見で弾きこなされていたのは流石でしたね。

いとう:
奏者としてのプロフェッショナルの凄まじさを垣間見ましたよ。
あまり一般的な和声運びをしない曲が多かったので、奏者側としても
予測しづらい展開が多くてさぞ弾きにくいだろうなあ、とか心配してたんですけど、全く無駄でしたね。
あそこまで初見で弾き倒されてしまうと、嬉しいやら悲しいやら、不思議な気分です。

本当は音楽としては弾きやすい方がいいに決まってるんですが、この「勝負に負けた感」はいったいどこからくるんでしょうね。不思議ですね。

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Q021:

坂本:
バイオリン収録の際には、SCEのプロデューサー、鈴木達也さんも
見学に来られていましたが、鈴木さんに一言お願いします。

いとう:
プロジェクト総本山ここに聳える、という感じのお人ですよね。
進行の要所で、チーム全員を引き締めるメールを投げ込んでくる。
これが実に胸の熱くなる言葉で皆を牽引してくれるんですよ。
鈴木さんはエネルギーに満ち溢れてる。
私が会社員なら、こういう上司の下で働きたいと思いました。

Q022:

坂本:
鈴木さんは有名人に例えると誰に似ていますか?

いとう:
高杉晋作に似てるんじゃないでしょうか。
やろうぜチームって奇兵隊みたいだし。
聞いて恐ろし 見ていやらしい 添うてうれしや 鈴木達也
そういう塩梅だと思いました。

Q023:

坂本:
バイオリン収録の際、ツェナの後藤さんがご用意してくださった
鰻弁当が最高に美味しかったですか?

いとう:
現場の弁当であんなに美味しいものを頂けるとは思ってもいませんでした。
後藤さんのグルメっぷりにも驚かされたプロジェクトでしたねー。
思えば打ち合わせ後の食事・飲みが全て凄いお店でしたよね。
私程度じゃ敷居を跨げそうもない店ばかりで、内心震え上がっていました。

とにかく収録現場で美味しい鰻を食べながら、
「来年の夏はみんなで富士山登ろうぜ」という約束を交わしましたが、
まったく実現されていませんね。
来年こそアタックしましょう。

Q024:

坂本:
後藤さんは写真もお上手で、いとうさんがレコーディング現場で
輝いているポートレートをたくさん撮影して下さいました。

いとう:
そうなんですよ。後藤さんはいつも巨大なカメラを手にしていて
撮る写真の全てが格好良いですよね。

よく営業の人間の言葉で「石ころをダイヤモンドとして売るのが営業の仕事」なんて言葉を聞きますが、
これはただの詐欺です。石ころは石ころのまま扱わないとダメなんです。
写真も同様で、この人は人間を不細工に撮るとか、この人は人間を美しく撮るとか、そういうのは全部嘘です。
カメラマンの神髄はありのままの姿を写すことだと思います。

ですから後藤さんが撮影してくれた私のポートレートが素晴らしいのはまず私が素晴らしいからです。
そして私が素晴らしいということを見抜いてカメラを向けた後藤さんの感覚もこれまた優勝だと思いました。

Q025:

坂本:
ノイジークロークの湯川くんも写真を撮影していましたね。

いとう:
一眼レフとはいったい何だったのか?そう思わざるを得ないですね…。
「写真は心だ」と言いますが、心を伝えるためにまず技術を磨くべきだと思います。
一心不乱に頑張って欲しいと思います。
コンパクトデジタルカメラからスタートしましょう。

私ですか?私も写真を撮りますが、いいですよ私の撮る写真は。
被写体選びに迷いが無い。
それ以上でもそれ以下でもないです。
写真の話題はもういいです。

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