坂本「確率的にはそろそろ誰かが歌う頃じゃないのか?第5投いきます」
コロコロコロコロコロ・・・。
坂本「赤5の緑6。『BUG CRASH』!!」
一同「おーーー!!キターー!!」
川越「あぶね・・・俺のマスすれすれ」
坂本「この曲俺好きなんだよなー。これは何なの?この冒頭のスケール(旋法)は」
いとう「リディアン?」
坂本「リアディゾン?」
はま「いや、リアディゾンではないです。リディアン♭7thかな?」
いとう「ホールトーンから、リディアン♭7thかー。この感じ、小憎らしい」
川越「やっぱり小憎らしい!なんですね。ただ、むき出しの『ホールトーンらしさ』みたいな感じはしないですよね」
はま「あんまりホールトーンらしすぎるのは避けたかったというのはありますね」
いとう「ベースラインが『らしさ』をいい意味で打ち消してるかもしれないよね」
はま「あー、そうかもしれないですね」
いとう「23秒辺りからの雰囲気もいいよね」
はま「ここはトップノートであるリコーダーのFの音がずっと残っていて、下が動いている感じですね」
いとう「ソプラノペダルかーなかなかうまく使うのは難しいよね。バスのペダルは便利だし、雰囲気を演出できるから、よく使うんだけど」
坂本「ここの6和音は?」(※試聴範囲外の部分です)
はま「4度堆積の6和音ですね」
いとう「4度堆積も便利だよねー。雰囲気が作りやすい。ってさっきから俺、そんなことばかり言ってるけど・・・ってちょっとみんな何見てるんすか!作曲の時、楽しようとなんかしてないっすよ!でも、雰囲気は割りと簡単に演出できても、メロディーと綺麗に絡むのは、難しいよ。やっぱり・・・小憎らしい!!」
坂本「『小憎らしい』3回目だな」
いとう「イントロのベースの感じはちょっとロックぽいよね」
はま「今まで聞いてきたゲーム音楽が体に染み付いているっていうのはあると思います」
いとう「後半の、この10拍フレーズも好きだなー」(※試聴範囲外の部分です)
川越「かっこいいんですよね。でも、数えにくくてしょうがない」
坂本「演奏中、みんな場所を見失ってたよね」
コロコロコロコロコロ・・・。
坂本「赤6の緑3で『すべてのはじまりor2』です。ゲームをプレイする人は誰もが聞く曲だね。これは1と2でどういう風に違いを出そうとしたの?」
はま「これは、前回のバージョンだとリコーダーの運指が難しそうだったので、長2度高くしたら簡単になるかなと思ってそうしました」
川越「ところが逆に・・・」
はま「難しくなっちゃいましたね(笑)」
高橋「この曲はいまやこのタイトル全体のテーマ的な存在になりましたよね」
坂本「キャッチーだし、モチーフとして他の曲の中にこっそり仕込むことのできる柔軟性もある。短い曲なんだけど音楽的に深みのある曲なんだよな」
コロコロコロコロコロ・・・。
坂本「赤5の緑1。『魔王は、どこにいればよろしいか?』・・・この曲はギリギリで必要になったんだよね」
はま「そうでしたね。作曲したときは、まさかゲームチュートリアル部分などでも使われるとは思っていませんでした」
川越「ゲーム中、とても良く聞く曲ですよね」
坂本「『魔王配置画面の曲』と聞いてたからね。こんなに使われるとは思ってなかった」
はま「4小節のループ曲なんですけど、ゲームをやってみたら、2分以上使われていて・・・」
坂本「前半の2小節と後半の2小節がうまく対比されていて、長く聞いても飽きないよね」
はま「ゲーム音楽では曲の長さが最初から決まっている場合が多いから、ループの尺には気を使いますよね」
坂本「そろそろゾロ目が出てもいいだろう」
コロコロコロコロコロ・・・。
坂本「赤6の緑5。『YUUNAMA EARTH』」
いとう「あぶねー!!」
坂本「チッ・・・」
川越「坂本さん、今舌打ちしましたか?それにしてもなかなかゾロ目が出ないものですねー」
坂本「大丈夫、大丈夫。いざとなったら強制的に出すから」
一同「えー!!(笑)」
坂本「この曲は雪が降っているようなイメージだよね。しんしんしん・・・」
はま「そうですねー。そういえばレコーディング中に、川越さんのカスタネット演奏に『もう少し悲しく』って指示を出しましたよね」
川越「ありましたねー(笑)」
坂本「演奏は全然変わんなくて、川越くんの顔だけ悲しい感じの顔になってたよな」
川越「いやいや!演奏も頑張ったじゃないっすかー」
坂本「でも、そうやって聞くと、全部の楽器にダイナミクスがついているんだな」
川越「浅田さんの大太鼓も深みが合ってすごくいいですよね」
いとう「この曲はメロディーから作ったの?」
はま「いや、コード進行を考えながら、同時にメロディーも作っていきました」
坂本「冒頭のコード進行が好きだなー。ふっと抜ける感じ」(※試聴範囲外の部分です)
いとう「この曲はセクション毎に短3度上がったり下がったり色々な方向に行ってるけど、短3度上げってよく使うよね。便利で」
高橋「いとうさん、また『便利』って言った」
一同笑
坂本「いやぁ、でも短3度転調は、良い効果生むことが多いよね」
川越「確かにすごく魅力的なんですけど、展開させたときに戻ってくるのがなかなか難しいですよね。ループするのはゲーム音楽の宿命ですもんね」
いとう「はまくんの曲はどれもうまく戻ってきてるよね」
坂本「俺はもう、そのまま突っ走っちゃうことが多いかな。戻ることなんか考えない、と。強引に戻して違和感を楽しむ、みたいな。もしくは散々発展させた後、リズムだけの部分を何小節か作って、脳内リセットがかかった頃に戻すっていう裏技もよく使う」
いとう「アタマにホールトーンのフレーズがある時は、ループ部分にそれを置けばすんなり戻せて便利なんですよね」
川越「ディミニッシュで下降してくるのも便利ですよね」
はま「さっきから便利ばっかりですよね(笑)」
高橋「俺、明日からゲーム音楽の聴き方変わるなー(笑)」
川越「ループ部分の処理はいつでも課題ですよね。研究し続けなければ」
はま「マイナーコードの連続って映画音楽などでもよく耳にしますよね」
いとう「映画音楽で最初に短3度上げを始めたのは誰なんですかね?偉いよね」
川越「短3度上げって、一時的な転調だと考えると、同主調の平行調への転調なわけで、近いとも遠いとも言いがたい距離感がありますよね」
坂本「不自然じゃないんだけど、自然じゃない、不思議な魅力があるっていうね」